ビクトル・エリセ『エル・スール』(1983年)
20年以上前に劇場で見た映画。最近ツタヤに行ったらDVDをみつけたので、長い時をへだててふたたび見た。
成長した娘エストレリヤと父親が踊るシーンもあったように思っていたが、なかった。父親は最後、「南」に戻ってしまうとも思い込んでいた。南に行くのは、娘のほうなんだ。
だいぶ記憶ちがいがあったが、個人的な想起ともあいまって、眼がうるんでしまった。「ミツバチのささやき」よりこっちのほうがいいと思う。
静かな映画だ……耳に障るのは、父親がヤケになって山で乱射する遠い銃声と、劇中劇の銃声のみ。それ以外は音楽も必要最低限しかないし、会話以外の音もほとんどない。90分ちょっとで終わるのもいい。
「南」へ行くためにエストレリヤがトランクを閉じるシーンで終わる。「南」に降り立つまでを描かないところが要かもしれない。
最後のシーンの画面の光は、あきらかに過去ではなく、これからのエストレリヤを照らしている。そう感じる。
(フリッパーズ・ギターに「Southbound Excursion(南へ急ごう)」というスキャットだけの名曲がある――いや、これは「南」の連想で思い出しただけ)。
*追記:金井美恵子の『小説論』という本(朝日文庫、2008年)を読んでいたら、巻末の対談で金井美恵子は、「私は『エル・スール』が大好きなんです」と発言している。さらに読むと映画監督の黒沢清という人も『ミツバチ』は「駄目」だけれど『エル・スール』は「大好き」と言っているらしい。わが意を得たり。
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コメント
ビクトルエリセの映画はいいですよね!
私は『マルメロの陽光』と『ミツバチのささやき』を見ました。
まるで絵画を見ているような・・・
残念ながら山猫さんの見た『エルスール』はまだ見たことがありません。
2007/11/2に日記を書いていらっしゃるのでツタヤのサイトで調べたところネットでのレンタルはなさそうです>残念
私は熊本に住んでいていろいろ探していますがなかなか目にすることはできません。
ツタヤでは販売されていたのでしょうか?
良かったら教えてください。
投稿 水面 | 2007年11月21日 (水) 00時56分
コメントありがとうございます。
京都のツタヤに、レンタル品として、あったのです。販売していたのではありません。
エリセの映画では、個人的には「みつばち」「マルメロ」より、この「エル・スール」が好きです。入手しにくい状況のようですが、機会あればぜひご覧になってください。
投稿 山猫 | 2007年11月22日 (木) 10時26分
コメントありがとうございました。
入手できるようがんばります。
投稿 水面 | 2007年11月26日 (月) 23時13分