現代詩文庫175/征矢泰子詩集(思潮社、2003年)
1934年生まれ、仕事も家庭も持ち、40歳を過ぎてから詩集を出しはじめ、1992年に自死した詩人の選集。北川朱実『死んでなお生きる詩人』(思潮社、2001年)という本で知って、読んでみようと手にした。
激しい詩だ。言葉のほうが走る気配を見せた瞬間、すかさず内容がそれを抑えこんだのでは、と思える箇所がある。すこし走ったところの詩のほうがいいと思った。
ふいてふいてふいて風よ
てかげんもいたわりもためらいもなく
ただやくたいもなくおもうさま
ふいてふいてふいて 風よ
ふきちらして
ふきたおして
ふきちぎって 風よ
こんなにも昏さ知らず哀しさ知らず
天よりも白くあかるく咲いてしまったので
もうあすからを
いきるひつようもない
純白いろのゆめ
いやもなくおうもなくひとおもいに
今日 初夏のあおい夜明け
ゆめのまま亡骸にかえて風よ
ふいてふいてもっとふいて 風よ
(「マーガレットのために」同書より。*初夏…はつなつ、亡骸…むくろ)
あと「ゆれるものを」「八月の鯨」という詩が心に残った。
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